銃の所持許可を取得するうえで、自宅で銃を保管するのであればガンロッカーと並んで必ず用意しなければならないのが「装弾ロッカー」です。

銃本体の保管先がガンロッカーなら、弾の保管先が装弾ロッカー。

どちらも法律で義務付けられており、警察の実地確認でチェックされます。

ガンロッカーと装弾ロッカーはセットで考えなければならず、どちらか一方を設置したとしてもそれでは審査が通りません。

今回は、ガンロッカーとセットで装弾ロッカーを自宅に設置し無事警察の審査を通過した私が、装弾ロッカーの設置基準と選び方をまとめてご紹介します。

装弾ロッカーが必要な理由

実包(弾)の保管については、銃砲刀剣類所持等取締法第10条の4および火薬類取締法の関連規定に基づいて義務が定められています。

銃刀法では、実包を堅固な設備かつ施錠できる設備に保管することが求められており、さらに火薬類取締法の施行規則が具体的な基準を定めています。

「頑丈な箱に入れて鍵をかければいい」という感覚で市販の金属ケースを使うのはNGで、基準を満たした装弾ロッカー専用品(または同等品)での保管が必要です!

なお、空気銃(エアライフル)のみを所持している場合は、装弾ロッカーの設置は不要。

散弾銃やライフルを所持する場合に義務が生じます。

装弾ロッカーの規定

装弾ロッカーに求められる基準は、ガンロッカーと比べるとわりとシンプルです。

ただし、なんでもOKというわけではもちろんありませんので、規定を満たしたロッカーを用意しなければ当然審査に通りません。

火薬類取締法施行規則第16条に定められた基準のうち、重要なのは以下の2点です。

【装弾ロッカーの主な適合基準】

①扉は厚さ0.6mm以上の鉄板を使用した鉄製の防火扉であること
②窓・通気孔・換気孔を設けないこと(密閉構造であること)

つまり「厚みのある鉄製の扉で、密閉されていること」が最低条件です。

プラスチック製のケースや、鍵のかからない木製の棚はもちろんNGですが、「スチール製に見えても扉が薄い」「通気孔があいている」という製品も基準を満たしません。

ガンロッカーと違って、スチール板の厚みが1.0mm以上だとかかんぬき構造じゃないとダメといった細かい製造基準はないものの、「スチール製の堅固な構造で施錠できる」という基本条件は変わりません。

保管できる実包の数には上限がある

装弾ロッカーで保管できる実包の数は、火薬類取締法施行規則第15条第1項の表によって定められています。

【実包の保管制限数】

・実包・空砲の合計:800個
・銃用雷管:2,000個
・無煙・黒色火薬の合計:5kg
・火薬を装填しない銃用雷管付薬莢:無制限

猟銃を使う方がよく購入するのは実包ですが、その上限は800個。

狩猟シーズン中にまとめ買いをしても、自宅に保管できるのはこの範囲内です。

ここで注意が必要なのが、「1回に買える数(火薬類譲受許可証の数量)」と「自宅に保管できる数(実包・空砲の上限800個)」は別の話だという点です。

初めて聞くと混乱しやすいので、まず言葉の整理から。

・火薬類譲受許可証の数量
→「1回の購入で何発まで買えるか」の上限。購入のたびに許可証を発行してもらう。

・自宅保管の上限(法律で定められた制限)
→「自宅に置いておける合計数」の上限。実包・空砲あわせて800個まで。

具体的な例(実包・空砲の場合)で考えてみましょう。

【具体例】譲受許可証の数量「200発」で都度申請した場合

①手元に実包がゼロの状態 → 200発を購入 → 手元200発(OK)
②さらに200発を購入 → 手元400発(OK)
③さらに200発を購入 → 手元600発(OK)
④もう1回200発を購入 → 手元が800発になる(ここが上限・OK)
⑤手元が800発の状態でさらに購入しようとした → 上限超過のためNG

まず手元の在庫を減らしてから購入する必要があります。

つまり「1回に買える数」と「家に置ける総数」はまったく別のルールです。

購入と消費のバランスを考え、合計が800個を超えないよう自分で管理する義務があるわけですね。

自分が申請する火薬類譲受許可の上限数も考慮したうえで、装弾ロッカーの容量を選ぶ必要もあります。

筆者はネットで装弾ロッカーを購入する際、サイズがS~Lで価格も大きく異なるため迷いましたが…大は小を兼ねるという発想から、一番大きなLサイズを購入しました。

装弾ロッカーの設置場所の規定

装弾ロッカーを「ガンロッカーの隣に並べる」「すぐ近くに設置する」のは、防犯の観点からNGです。

装弾ロッカーの設置場所を選ぶ際に一番重要となるのがここ。

万が一泥棒が侵入した際、銃と弾を同じ場所から一度に持ち去られてしまうリスクを下げるために、ガンロッカーとは別の部屋か、できる限り離れた場所に設置するのは必須条件です!

ガンロッカーと装弾ロッカーを同じ部屋に置くことは防犯上問題があるととみなされ、警察から指導を受ける可能性があります。

【推奨される設置場所の組み合わせ例】

・ガンロッカー:2階の寝室 / 装弾ロッカー:1階の納戸やリビング
・ガンロッカー:押し入れの中 / 装弾ロッカー:別の部屋のクローゼット

ワンルームマンションなどで物理的に部屋を分けられない場合は、同じ部屋でも「できる限り離れた場所」に置いて、担当警察官に相談することをおすすめします。

装弾ロッカーの固定方法

装弾ロッカーに関しても、ガンロッカー同様に固定をどうするかが特に重要になります。

「ただ置いてあるだけ」では審査に通りません。

法律上(銃刀法施行規則)では「保管設備の持ち運びが容易にできないようにすること」が求められており、警察の実地確認では「固定されているか」「容易に持ち出せない措置が取られているか」が必ずチェックされます。

方法①壁・床にボルトで直接固定する

持ち家であれば、これが最も確実な方法です。

装弾ロッカー本体に固定用のビス穴が空いているものが多いので、これを活用して壁や床にボルトで固定します。

ガンロッカーと同様に、壁に直接ビスを打てる場合はこれで十分。

強固に固定されていれば、審査上も問題になりません。

方法②2×4材の突っ張り柱に固定する(賃貸向け)

賃貸物件では壁に穴を開けられないことがほとんど。

そこで多く採用されているのが、ガンロッカーでも紹介した「2×4(ツーバイフォー)材+アジャスター」の突っ張り柱に固定する方法です。

「ラブリコ」や「ディアウォール」といったアジャスターを使えば、壁・天井・床を傷つけずに突っ張り柱を設置でき、そこに装弾ロッカーをビス止めできます。

豆知識:木材の長さの計算方法

天井から床までの高さを正確に測り、アジャスターの種類に合わせて必要な長さを計算します。
「ラブリコ」の場合は天井の高さ−9.5cm、「ディアウォール」は天井の高さ−4.5cmが目安。

ホームセンターで材料が揃い、カットもしてもらえます。

方法③重しで総重量を増やす

物理的な固定がどうしても難しい場合、ロッカーの底部にダンベルや鉄アレイなどを入れて総重量を増やすことで認められるケースもあります。

目安として総重量17kg以上が一つの基準として挙げられることがありますが、これは確実ではなく、所轄警察署の判断によります。

これはあくまでボルト固定や突っ張り柱固定ができない場合の最終手段として考え、自己判断で重しを購入する前に所轄警察署の担当職員に相談するようにしましょう!

装弾ロッカーは中古品や金庫で代用も可能

「新品の装弾ロッカーは費用がかかるので、手持ちの金庫や中古品で代用できないか」と考える方もいらっしゃると思うのでこちらについても触れておきましょう。

結論から言うと、法令の基準を満たしていれば中古品や金庫での代用は可能です。

スチール製で0.6mm以上の鉄板扉、密閉構造、施錠できる…この条件を満たしていれば、専用品でなくても認められるケースがあります。

また、テンキー式・ダイヤル式の金庫も、施錠機能がしっかりしていれば認められることが多いです。

ただし中古品や金庫を代用として使う場合、「これで大丈夫ですか?」と所轄の警察署の生活安全課に確認してから購入・設置するのが安全です。

使えると思ったけど基準を満たしていなかった…なんてことになれば買い直しになり、結果無駄な出費を増やす羽目になります。

装弾ロッカーの選び方

これから装弾ロッカーを購入する場合は、「保管できる弾数」と「鍵の種類」を軸に選ぶのがおすすめです。

それぞれ紹介していきますね。

保管弾数で選ぶ

装弾ロッカーには800発用とそれ以下の小型のものがあります。

法律上の上限が800個であるため、800発用のロッカーを選んでおけば「ロッカーに入りきらない」という事態は起きません。

小型のものは設置場所を取りませんが、まとめ買いが多い方には手狭になる可能性があります。

迷ったら800発用を選んでおく方が無難でしょう。

ちなみに金庫などの代用品を使用する場合は当然、保管できる装弾の個数については書かれていないので、装弾ロッカーの専用品のサイズとしっかり比較して検討することをおすすめします。

鍵の種類で選ぶ

装弾ロッカー、または代用品を購入する際は鍵の種類で選ぶ方法もあります。

・シリンダー錠(物理的な鍵):最もスタンダードな形式。購入しやすい価格帯のものが多い。ただし鍵の紛失・管理が必要

・テンキー式(暗証番号):鍵を持ち歩く必要がなく紛失リスクなし。金庫タイプに多い

・ダイヤル式:電池不要で動作が安定。古くからある形式で、中古でも多く流通している

どのタイプも法令上の優劣はありませんが、「鍵の管理が面倒」と感じる方にはテンキー式が人気。

私が購入し装弾ロッカーとして使用しているものもテンキー式です。

ガンロッカーとのセット購入も選択肢のひとつ

一部のメーカーや販売サイトではガンロッカーと装弾ロッカーのセット販売を行っていることがあります。

セット販売の場合、セット割引が適用されることもあります!

例えばこんな感じです。

出典:スチールファクトリー

予算を抑えたい方はぜひ検討してみてください。

まとめ:装弾ロッカーは「別の部屋に」「固定して」が基本

それでは最後に、装弾ロッカーの設置に関するポイントを整理します。

【装弾ロッカー設置基準まとめ】

①スチール製・鉄板扉(0.6mm以上)・密閉構造・施錠可能な専用品または同等品
②保管できる実包は最大800個(法令上の上限)
③設置場所はガンロッカーとは別の部屋が原則
④壁・床へのボルト固定、または2×4材の突っ張り柱で固定する

装弾ロッカーはガンロッカーに比べると基準はシンプルですが、「固定」と「設置場所(別の部屋)」という条件は見落としがちです。

購入・設置前に所轄の警察署に計画を確認し、問題ないかを担当の警察官に相談しておくのが、審査をスムーズに通過するにはベストでしょう。

今回の内容が、装弾ロッカーの準備を進めている方の参考に少しでもなれば幸いです。

ライター:遠藤葉月