私は1か月ほど前からムエタイジムに通っているのですが…。

ムエタイを始めてから、周りの人に「キックボクシングと何が違うの?」とよく聞かれるようになりました。

しかしこの質問に対し、残念ながら「ここがこう違う」と明確に答えられなかった私…(笑)

恥ずかしかったのでこれはちゃんと知っておきたいと思い、自分なりに調べてみました。

その結果、どちらも蹴りが使える格闘技という共通点こそあるものの、ルールも試合の雰囲気も別物だということがわかりました。

この記事では、その違いをわかりやすくまとめていきます!

「ムエタイ」と「キックボクシング」はどんな競技?

細かい違いに入る前に、それぞれのざっくりした紹介からスタートしたいと思います。

ムエタイとは

ムエタイはタイ発祥の格闘技で、タイの国技でもあります。

歴史は非常に古く、もとは戦場の格闘術として発展したもの。

拳・蹴り・肘・膝という体の8箇所を武器として使う競技です。

キックボクシングとは

キックボクシングは、1950〜60年代に日本でムエタイをベースに独自発展した競技です。

ムエタイの弟分的な位置づけで生まれたとも言えますが、ルール面では大きく枝分かれしています。

どちらも蹴りOKな格闘技ではあるのですが、ルールと試合の戦い方そのものは根本的に異なります。

というわけで次の項目からは、この違いについて順番に解説していきます。

ルールの違い①使える体の部位が違う

最もわかりやすい違いが、攻撃として使える体の部位です。

攻撃の種類 ムエタイ キックボクシング
パンチ
蹴り
肘打ち ×
膝蹴り 団体によって異なる

ムエタイの場合、両拳・両足(蹴り)・両肘・両膝の合計8箇所が武器になりますが、キックボクシングは基本的に拳と蹴りが中心で、肘は使えません。

「肘ありかどうかなんてそんなに違う?」と思う方もいるかもしれませんが、これが試合の組み立てに大きく影響します。

肘打ちは接近戦でこそ威力を発揮する技。

至近距離での打ち合いになったとき、ムエタイでは肘を使えるため、相手に密着し、お互い腕を伸ばせない距離でも十分に攻撃ができます。

逆に言うと、相手の懐に入ることがピンチではなくチャンスにもなり得るのがムエタイの面白いところです。

キックボクシングでは肘が使えない分、こうした至近距離での攻防の選択肢が変わってきます。

ルールの違い②クリンチの扱いが真逆に近い

もうひとつ、試合の展開を大きく左右するのが「クリンチ(組み付き)」の扱いです。

ムエタイでは、相手と組み付いた状態(クリンチ)でも試合が続行されます。

それどころか、クリンチ内での膝蹴りや肘打ちはムエタイの重要な戦術のひとつ。

試合を観ていると、選手同士がお互いの首に手をかけてぐいぐい引き合いながら膝を入れ続ける場面が頻繁に出てきますが、あれは反則ではなくれっきとした戦術です。

一方キックボクシングでは、クリンチ状態になるとレフェリーがすぐに間に入って試合を止め、お互いを離します。

これはボクシングも同様。

経験上ですがこの場合、相手と距離が近く自分が不利になりそうな状況な時、あえてクリンチに行っていったん試合展開をリセットするという使い方ができるんです。

つまりムエタイとキックボクシングでは、「相手に密着する」という同じ状況がまったく異なる意味を持つわけです。
この違いだけでも、戦略は大きく変わってきます。

試合展開と雰囲気の違い

ルールの違いを踏まえると、試合の展開にも自然と差が出てきます。

ここからは、ムエタイとキックボクシングの試合展開と雰囲気の違いについて紹介していきます。

ムエタイ|序盤はじっくり、後半に攻め込む

ムエタイの試合(5ラウンド制)は、序盤の1〜2ラウンドはお互いの様子を探るように動き、後半にかけて試合を決めに行くパターンが多いです。

前蹴りで距離を管理しながら、ローキックでじわじわとダメージを蓄積させ、隙ができたタイミングでクリンチに持ち込んで膝を入れる…という組み立てが典型的なムエタイの戦い方。

一発の重さやクリーンヒットがポイント評価に直結するため、手数よりも質が重視されます。

また、後で詳しく書きますが、試合の前にはワイクルーと呼ばれる独特な儀式が行われます。

試合中は「サラマ」と呼ばれる伝統音楽が流れるのもムエタイの大きな特徴。
私の通うムエタイジムでも常に流れているのですが、独特のリズムと雰囲気でちょっとテンションが上がります(笑)

キックボクシング|手数とスピード感重視

キックボクシングは、ボクシングの技術がベースになっていることもあり、パンチのコンビネーションと蹴りを組み合わせたスピーディーな展開が特徴。

クリンチがすぐに切られる分、距離を取った打ち合いがメインになります。

ラウンド数は団体によって異なりますが、3〜5ラウンドが一般的。

試合前の儀式や音楽はなく、ムエタイよりもよりシンプルな競技として進行します。

試合前のワイクルーはムエタイ独自の儀式

先ほど軽く触れましたが、ムエタイとキックボクシングの試合の雰囲気で大きく違うのが試合前の儀式「ワイクルー・ラムムエ(通称:ワイクルー、ワイクー)」の存在。

ムエタイでは試合開始前に、選手がリングを歩きながらお祈りをし、師への敬意を表すダンスのような動きを行います。

これがワイクルーです。

キックボクシングにこういった儀式ありません。

というより、こうした儀式がある格闘技はムエタイくらいです。

私はムエタイの試合を初めてちゃんと観たとき、開始前のワイクルーの時間が長くて「まだ始まらないの?」と戸惑いました(笑)。

参考として、ワイクルー込みの試合映像を載せておきますね。

【吉成名高 vs ペットヌン・ペットムエタイジム(เพชรหนึ่ง)|ラジャダムナンスタジアム スパーフライ級(52.16kg)タイトルマッチ|RWS JAPAN 2024.12.1 】

まとめ:ムエタイとキックボクシングは似て非なる競技

ムエタイとキックボクシングの主な違いを、最後に簡単にまとめます。

【ムエタイとキックボクシングの主な違い】

・使える武器
ムエタイは拳・蹴り・肘・膝の8箇所、キックボクシングは基本的に拳・蹴りのみ

・クリンチ
ムエタイは組み付きながら膝・肘の攻撃が可、キックボクシングは即座に分離

・試合展開
ムエタイは質重視でじっくり、キックボクシングはスピードと手数も重視

・試合前儀式
ムエタイはワイクルーあり、キックボクシングはなし

ムエタイとキックボクシングは、「蹴りが使える」という点では共通しているものの、実際は戦い方も雰囲気もまったく異なります。

どちらの競技に興味を持っているにせよ、まずは試合動画を観比べてみるのが一番わかりやすいと思います。

ルールを頭に入れた状態で観ると、選手がなぜその動きをしているのかも見えてくるので、面白さが増すと思いますよ!

今回の内容が、ムエタイやキックボクシングに興味を持ち始めた方の参考になれば幸いです。

ライター:遠藤葉月