某クラウドソーシングを使い始めてから約7年。

私は「怪しい案件の見分け方」についてそれなりの自信を持っていました。

応募する前にクライアントの実績を確認して、文面が怪しければスルーして、LINEへの誘導には絶対に乗らない…長年このサービスを使い続けた結果、そういう判断軸が身についていたからです。

ところが今年、その自信が通用しない新しいタイプの詐欺案件に引っかかりそうになりました。

今回は、私がこれまで知っていた地雷案件の見分け方と、それでは見抜けなかった体験談を実際のやりとりも含めてまとめていきます。

私が知っていた某クラウドソーシング上の怪しい案件の見分け方

まず前提として、某クラウドソーシングには昔から複数、定番の詐欺案件パターンがあります。

私が実際に経験したり、学んできた見分け方をまとめておきます。

「簡単作業+高収入」は無条件で疑う

「誰でもできる軽作業で月30万円も可能!」というような案件は、まず疑いましょう。

報酬と作業内容のバランスが取れている案件は、具体的に何をするのかがちゃんと書いてあります。

「簡単」「高収入」だけが強調されていて中身がイマイチはっきりしていない案件は、私の経験上200%詐欺案件です(笑)

応募条件に個人情報が含まれている

「30代以下の方」「独身の方」「子育て中の方NG」など、仕事内容とまったく関係のない条件が設定されている案件も要注意です。

こういう条件は特定の属性に絞り込んで別のサービスに勧誘するために設けられていることが多く、マルチ商法や出会い系への誘導が目的だったりします。

これはここ数年で相当数見かけるようになり、応募者欄を見ると数十人単位の方が応募しているのが見受けられ、心が痛みます…。

某クラウドソーシング外への誘導を急いでくる

「直接やり取りは可能ですか?」は詐欺の入り口です。

某クラウドソーシングにはメッセージ機能があり、それを使えば万が一のときの証拠が残ります。

それを嫌うクライアントが外部ツールへ誘導してくるわけで、LINEやテレグラム、WhatsAppへの誘導は問答無用でアウト。

公式のサービス外連絡申請を経て、契約前の面談を行うなどはOKですが、サービス外連絡申請もなしに連絡ツールでやり取りをしたがるのは怪しいと思ってください。

クライアントの実績・評価がゼロなのに高単価

登録したばかりのクライアントが破格の報酬を提示している場合、プロフィールを必ず確認します。

本人確認が済んでいるか、発注件数に対して完了件数や「ありがとう」の数が見合っているかなど…。

実績ゼロで高単価を提示している新規クライアントは、基本的にスルーが正解です。

このように私は自分なりの判断基準に自信を持っていた…のですが、今年それが通用しない案件に出会うことになります。

自分なりの判断基準が通用しなかった!某クラウドソーシングで詐欺案件に騙されかけた体験談

さて、ここからは某クラウドソーシング歴7年の私がうっかりひっかかりかけた詐欺案件のお話をしたいと思います。

今年に入って間もないころ、久しぶりに某クラウドソーシングのアプリを開いたら、2日前の日付でスカウトメッセージが届いていました。

第1章:最初のスカウト

しばらく開いていなかった某クラウドソーシング、スカウトのメッセージが来ていたので慌てて開いてみると、こんなメッセージが入っていました。

※名前・URLを除きそのまま原文を転載

はじめまして。突然のメッセージで失礼いたします。
私はフリーランスのHR担当として活動しており、現在、あるプロジェクトの一環でウェブサイトやブログのテキスト制作をお願いできる方を探しております。報酬は170,000円です。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度ご連絡ください。
何卒よろしくお願いいたします。
(本名っぽい名前)

「簡単作業で高収入!」という煽り文句もなく、丁寧な日本語で書かれていました。

これまで見てきた怪しい案件とは少々違い、さらに私が得意とする記事・Webコンテンツ作成の相談だったこともあり、「一度返信してみよう」と思いました。

「怪しい案件っぽくない」ことが、実は最初の罠でした。

第2章:やり取りをするうちに出てきた違和感

私が案件に対し前向きな姿勢を示す返信をすると、先方から詳細なメッセージが届きました。

ご返信ありがとうございます。お返事が遅れてしまい申し訳ございません。
ここ数日、体調を崩しており、すぐにご返信することができませんでした。
ご理解いただき、誠にありがとうございます。クライアントの会社はウクライナに拠点を置き、主な事業内容は、動物を寄生虫から保護するための製品、植物の成長を促進するための資材、そして有機廃棄物の処理ソリューションの製造です。(中略)もしご都合がよろしければ、以下の質問にお答えいただけますと幸いです:
1)テキスト作成にどれくらいの時間がかかりますか?
2)このようなプロジェクトでは、どのようなプロセスで進められますか?
3)他の作品を拝見できるウェブサイトはございますか?

「体調を崩して返信できなかった→理解してくれてありがとう」という流れ、ちょっとおかしくないですか(笑)

返信できなかったことへのお詫びはわかるのですが、「理解していただき誠にありがとうございます」という感謝の向け先がよくわからない…ただ、まあ、文章が得意な人じゃなければそういう表現もあるかなと思いながら、私はまじめに3つの質問すべてに丁寧に回答しました。

体調まで気遣いながら(笑)。

それに対する返答がこちら。

(中略)私自身はフリーランスのHRとして携わっておりますので、最終的にご依頼するかどうかの判断は「〇〇〇〇(社名)」のCEOであるXXXさんが行います。
すでにYYYさんにあなたをご紹介し、ポートフォリオも拝見していただきましたが、大変好評でした。(中略)YYYさんが あなたのために準備した手紙には、「〇〇〇〇(社名)」の事業計画や目的、そしてプロジェクトの詳細について記載されております。この手紙をお送りしますので、ぜひご確認ください。[詳細手紙リンク](DropboxのURL)

ここで本格的に「ん?」となりました。

私の質問3つへの回答なく、急に「CEOのYYYが直接連絡したい」「Dropboxに詳細ファイルを入れました」という展開になっています。

私が送った内容、ちゃんと読んでます?ってなりますよね(笑)

あと英語を直訳したみたいな不自然な日本語も、これ以降どんどん目立ってきます…。

第3章:カマをかけてみた

ここまできたらハッキリさせようと、別方向のやる気が出てきた私(笑)。

こんな返信をしました。

大変申し訳ないのですがDropboxのリンクが開けないため、詳細の文章をテキストまたはPDFファイルで添付いただけないでしょうか。

これは嘘です。

「怪しいかも」と感じているメッセージに添付されたURLをわざわざ開くリスクは取りたくなかったし、ちゃんと会話が成立しているのかも確認したかったので…。

「リンクが開けない」と言ったらどう返してくるか試したんです。

そんなカマかけへの返答がこちら。

先にお送りしたプロジェクト詳細ファイルに関して問題が発生してしまい、誠に申し訳ありません。(中略)現在、ファイルを再度アップロードしましたので、問題なく表示されるはずです。(中略)ご不便をおかけしましたことに感謝いたします。

「ご不便をおかけしたことに感謝」……感謝?

これもう絶対に英語からの直訳です。

ここで確信に変わりました、この人、日本語ネイティブじゃない。

しかし最初のメッセージの文末に記載されていた本名っぽい名前は完全日本人ネーム…うん、怪しすぎる…。

第4章:検索して判明した事実

完全に怪しさMAXと判定した私は、次の手に移ります。

クライアント名、CEOの名前「YYY」、ウクライナ拠点、Dropbox誘導——これらをキーワードに検索したところ、同様の手口による被害報告がSNSと某クラウドソーシングの相談所の両方に上がっていました。

手口の全体像をこれらの情報からまとめると、こうです。

①スカウトで接触→丁寧なやりとりで信頼を構築
②Dropboxのリンクで詳細文書を送る(マルウェアの可能性あり)
③報酬の支払い方法が仮想通貨
④「世界情勢の関係で通常振り込みができない」との理由でfundcoinへ誘導
⑤「日本で扱えるウォレットに送金するにはBTCを先に送る必要がある」という規約が出現
⑥被害者がBTCを送金して終了

つまり、最初の170,000円の仕事をちらつかせておいて、最終的に「受け取るためにBTCを先払いしろ」という古典的な前払い詐欺の仮想通貨版だったわけです。

よくある怪しいスカウトと異なる文面と手口を使い、従来の見分け方をすり抜けるよう工夫されていました…。

これを知った時はかなりイラっと来ましたね、実際に金銭的被害に遭う前に気が付いたのは不幸中の幸いですが、時間と手間を割いてやり取りしていたわけで…。

最後に私はこんなメッセージを送って終わりにしました。

本案件の報酬の支払方法が仮想通貨であり、世界情勢の関係で通常の振り込みができず最終的にfundcoinに誘導され、さらにこの仮想通貨は「日本で取り扱いのある別のウォレットに送金するには外部アカウントとの連携が必要でBTCを送る必要があるという利用規約が存在する」…以前同じ内容のスカウトで被害を受けたという方が情報を公開していますよ。

SNSで詐欺の注意喚起も拡散されています。

詐欺もしくはマネロンの仲介なのか、それともウクライナのCEOとしてやり取りするのもあなたご本人なのかはわかりませんが、このようなグレーなことはやめておいた方が良いのではないかと。

通報させていただきました。

本当はもっとブチギレたかったのですが、ここは大人対応で(笑)。

当然、某クラウドソーシング運営にも報告しました。

この経験から意識するようになった詐欺案件の新:見分け方

今回の件で、従来の見分け方に加えて新たに意識するようになったポイントがあります。

まず、メッセージへの回答がかみ合っていないこと。

私が3つの質問を送ったのに、回答がないまま別の話題に進んだのが最初の違和感でした。

人間同士の自然なやりとりをしていれば、こういうかみ合わなさってなかなか起きないと思います。

テンプレートを使い回しているか、機械的に処理しているかのどちらかです。

次に、「英語を直訳したような不自然な表現」。

「ご不便をおかけしたことに感謝いたします」
「ご理解いただき誠にありがとうございます」

など、日本語ネイティブではあまり使わない表現が混じっていたら怪しんだ方が良いと思います。

そして、「外部ファイル(Dropbox・Google Drive等)への誘導」。

仕事の詳細を外部ファイルに入れてリンクで渡そうとする場合、マルウェアの可能性があります。

クラウドソーシングサイト内で説明できる内容をわざわざ外部に出す理由はないはずです。

最後に、これはあらためて実感したことですが、なんか変だな、という直感を信じることは本当に大事です!!

証拠がなくても、証明できなくても、「ちょっとおかしいな」と感じたらその感覚を信じることをおすすめします。

詐欺師は手を変え品を変えてくるので、昔ながらの怪しい文章や募集要項をしっかり見分けられるようになっても、どんどん新しいパターンが出てくることを忘れてはいけません。

まとめ:詐欺の手口は多種多様!気を抜けば誰でも騙されるリスクあり

今回の件で一番悔しかったのは、やりとりに時間と手間をかけてしまったことです。

被害には遭わなかったとはいえ、3回も丁寧に返信して、体調まで気遣って(笑)、後から思い返すと腹が立ちます。

詐欺の手口は本当に巧妙になっています。

昔のようにわかりやすい怪しい文面ではなく、最初は普通のやりとりに見せることで防衛線をすり抜けてくるわけです…。

「自分は引っかからない」という自信こそが、一番の隙になることを忘れないでください。

クラウドソーシングサイトで案件を探している方は、ぜひこの記事を参考に怪しいやりとりを見抜いていただければと思います。

ライター:遠藤葉月