近年、AI技術の進化により、画像・動画のフェイクコンテンツがリアルタイムで生成され、SNSやニュースなどさまざまな情報メディアに流通するケースが増えています。

これにより、私たちは見た目や聞こえだけでは真偽を判断しにくい情報に日常的に触れるようになりました。

こうした状況に対応するためには、具体的な判別ポイントと確認手順を知ることが重要です。

この記事では、AI時代に必要な情報との向き合い方の考え方と、画像・動画を見分けるための具体的なポイントを、やさしく整理してお伝えします。

画像フェイクの判別ポイント

画像フェイクの判別ポイント

画像フェイクは一見すると非常にリアルに見えることが多く、特にSNS上では「写真だから本物だろう」と思い込んでしまいがちです。

しかし、AI生成画像には細部を見ると違和感が残るケースがあります。

以下のポイントを意識することで、不自然さに気づきやすくなります。

  • 不自然な背景や光の影
  • ディテールの不整合(指や手の形、衣服のしわ、目の反射など)
  • 高解像度でも微妙な違和感(左右対称や質感の不自然さ)

これらは一つひとつを見ると小さな違和感ですが、複数重なっている場合はAI生成である可能性が高まります。

具体事例|実在の人物・事件を装ったフェイク画像

政治的な偽画像(ニュース風コラージュ)が拡散
例:
エマニュエル・マクロンとハメネイの偽画像(事実無根)

「フランス大統領とイラン指導者が握手する」などのAI生成画像が偽情報としてSNS上に出回り、ファクトチェックで偽物と断定されました。

社会的事件をめぐる誤情報画像の拡散
例:
ボンダイ大量射撃事件をめぐる偽画像拡散

事件をめぐって本物の被害者を映画セットなどに偽装した画像がSNSで広まり、当人が訂正を求める事態となりました。

対策|「見た目」だけで判断せず、出典と文脈を確認する

画像フェイクへの対策では、「見た目の違和感」に加えて出典や背景情報を確認する視点が重要になります。

直感だけに頼らず、以下のような確認を組み合わせることで判断精度が上がります。

  • 画像検索(Google Lens、TinEye)で出典を確認
  • 投稿者情報や公開日をチェック
  • 不自然な箇所を拡大して目視で確認

これらを習慣化することで、「本物らしい画像」に対しても冷静に向き合えるようになります。

動画フェイクの判別ポイント

動画は「動いている=本物」と思われやすいメディアですが、AIによるフェイク動画(ディープフェイク)は急速に精度を高めています。

特に人物が話している動画では、細かな動きに注目することが重要です。

  • 口の動きと音声の同期
  • まばたきや表情の不自然さ
  • 背景や動く物体の違和感

一見自然に見えても、動きのタイミングや視線のズレなどに注目すると違和感が見つかることがあります。

具体事例|フェイク動画に共通する違和感

政治家の会見動画がフェイクとして拡散
例:ゼレンスキー大統領の偽演説動画(AI生成)

ウクライナのゼレンスキー大統領が降伏を呼びかけているかのように見える偽の演説動画が、YouTubeやSNS上で拡散しました。
口の動きと音声に微妙なズレがあり、表情や瞬きにも不自然さが見られましたが、一見すると本物の会見映像のように見えたため誤解が広がりました。

企業発表動画を装ったフェイク動画の拡散
例:企業幹部を装ったAI生成動画を使った詐欺事例)

実在する企業のCEOや経営幹部が製品や投資を勧めているように見えるAI生成動画が、SNSや動画プラットフォーム上で拡散しました。
手の動きがぎこちなく、背景や光の反射に違和感があるものの、公式発表動画と似た構成のため本物と誤認されるケースが報告されています。

対策|「流し見」をしないための確認習慣

動画の場合は「流れで見て終わる」のではなく、意図的に立ち止まって確認する姿勢が大切です。

以下の方法を組み合わせることで、フェイク動画に気づきやすくなります。

  • 動画をスロー再生で動作を確認
  • 公式チャンネルやニュースサイトで同映像の有無を確認
  • 必要に応じてAI動画検出ツールを活用

特に、重要な発言や影響の大きい内容ほど、公式情報との照合を優先しましょう。

総合的な対応策

ここまで見てきたように、画像・動画それぞれに判別ポイントはありますが、どれか一つの方法だけでは不十分です。

  • 複数の視点を組み合わせることが、AIフェイク対策の基本になります。
  • 情報源の確認:公式発表や信頼できるメディアか
  • 複数情報源の照合:同じ内容が複数で確認できるか
  • AI検出ツールの活用:Deepware Scanner、Reality Defenderなど
  • 日常的に「疑う目」を持つ習慣

これらの対策を組み合わせることで、画像・動画それぞれのAIフェイクに対して冷静に判断できる力が身につきます。

注意点:AIの進化で見分けが難しくなっている

以前は、AI生成画像やイラストの判別は比較的容易で、例えば「手の指が6本ある」「耳の形が歪んでいる」といった明らかな違和感に気づくことができました。

しかし、最近のAIではこうした初歩的なミスはほとんどなくなり、指の数や顔の形、光の表現まで自然に生成されるケースが増えています。

そのため、これまでの単純なチェックポイントだけでは見分けがつかない場合もあります。

よって、「明らかな違和感だけを頼りにしない」ことが必要です。

情報源の確認や複数の照合、AI検出ツールの併用など、総合的な対応がますます重要になっています。

まとめ|少しの意識が、大きな安心につながります

AI生成フェイクはリアルタイムで拡散されるため、見た目や聞こえだけで判断することは危険です。

しかし、考え方・判別ポイント・具体的事例・確認手順を押さえることで、日常や仕事で遭遇する情報を安全に扱えるようになります。

重要なのは、情報を受け取ったらすぐ信じず、確認するプロセスを習慣化することです。