石川県加賀市は、山代や山中といった有名な温泉地があり、美味しいお茶と和菓子の文化が深く根付いている街です。そんな加賀で、地元の人たちが「ここのお菓子なら間違いない」と太鼓判を押す名店が「音羽堂(おとわどう)」

看板商品の「加賀紫雲石」も有名ですが、今回私がいただいたのは、見た目も名前も美しい「岩雫(いわしずく)」と「金彩乾山(きんさいけんざん)」の2種類。

職人さんのこだわりが詰まった、二つの名作を実際に食べてみた感想をたっぷりお届けします!

「音羽堂」ってどんなお店?

音羽堂の本店は、九谷焼のふるさと・山代温泉のすぐ近くにあります。

お店に入ると、ふわっとお菓子の優しい香りが漂い、ショーケースにはキラキラした和菓子がまるで宝石のように並んでいます

ここのお菓子の凄さは、なんといっても「食感」の楽しさです。

お豆一粒一粒の歯ごたえや、口の中でとろける絶妙な加減が、他のお店とはひと味違います。派手な宣伝はしていなくても、一口食べれば「丁寧に作られているな」と心に響く。

そんな職人さんの愛情が詰まった老舗なんです。

赤ちゃんのほっぺのような柔らかさ!『岩雫(いわしずく)』

今回いただいた一つ目の銘菓が、この「岩雫(いわしずく)」です。 包みから取り出した瞬間、その驚くほどの「柔らかさ」に心を掴まれました。

指で触れると、まるで赤ちゃんのほっぺのようにふわふわで、吸い付くようなしっとり感があります。

究極の口どけ!極上の羽二重餅

このお菓子の最大の魅力は、なんといっても外側の餅生地です。

きめが細かく、口に入れた瞬間に雪のようにスッと溶けていくような感覚。これは石川県の名産でもある「羽二重餅(はぶたえもち)」をさらに進化させたような、究極の口どけと言っても過言ではありません。

お餅自体に優しい甘みがあり、それだけでも十分に美味しいのですが、この繊細な柔らかさが、次に出てくる粒あんを優しく引き立てています。

粒あんの力強さと、餅の優しさのハーモニー

中を割ってみると、そこにはツヤツヤと輝く粒あんがたっぷりと詰まっています。

音羽堂は「小豆」へのこだわりが強いお店ですが、この岩雫に使われている粒あんも格別です。一粒一粒の皮の食感が程よく残っており、噛むたびに小豆の豊かな香りが鼻に抜けます。

外側の餅生地がどこまでも「優しく、儚い」のに対し、中の粒あんは「力強く、濃厚」

この二つが口の中で混ざり合ったときのバランスが絶妙で、食べ終わった後に心地よい満足感が広がります。

喉越しの良さと上品な余韻

甘さは控えめで上品なので、一つ、また一つと手が伸びてしまうような、後を引く美味しさです。

お餅の和菓子は、時間が経つと硬くなってしまうイメージがありますが、岩雫は最後の一口までその「瑞々しさ」を保っているのが印象的でした。

お茶の時間はもちろん、ちょっと贅沢な自分へのご褒美としても、これ以上のものはないと感じさせてくれる一品です。

芸術品のような見た目に驚き!『金彩乾山(きんさいけんざん)』

次にご紹介するのが、目にも鮮やかな彩りが印象的な「金彩乾山(きんさいけんざん)」です。

包みを開けると、そこに現れるのは、音羽堂のこだわりが詰まった上品な一枚でした。

小さな金箔が石川の工芸を思わせる美しい佇まい

このお菓子を手にしてまず目を引くのが、表面にさりげなくあしらわれた小さな金箔です。

キラリと輝く金箔が添えられているだけで、一気に華やかさが増し、石川の伝統工芸品を眺めているような贅沢な気分にさせてくれます。

形は楕円形で、余計な凹凸のないスッとした佇まい。その平らな面に、抹茶や醤油の色彩が丁寧に施されており、見た目も鮮やかです。パッケージの和柄も上品で、お土産にもよさそう

派手すぎず、でも確かな気品が漂うその姿は、まさに加賀の美意識をそのまま形にしたような美しさです。

まるで「ベビーせんべい」!ふわっと消える魔法の食感

ところが、実際に一口かじってみると、その食感に大きな衝撃を受けました。見た目のしっかりとした印象からは想像もつかないほど、驚くほど軽く、繊細な食感なのです。

例えるなら、赤ちゃんが食べる「ベビーせんべい」のような、ふわっとした優しい口当たり。サクッという音を立てたかと思うと、次の瞬間には口の中でホロホロとほどけ、あっという間に消えてなくなってしまいます。

「しっかり噛んで味わう」というよりは、舌の上で溶けていく時間を楽しむような、不思議で儚い食感。「食感の軽さ」のギャップこそが、このお菓子の最大の面白さだと言えるでしょう。

繊細さが際立つ、抹茶と醤油の「ほんのり」とした風味

今回は「抹茶」と「醤油」の2種類をじっくりと味わってみました。 まず抹茶味ですが、表面の緑が美しく、噛むほどに抹茶の爽やかな香りが鼻に抜けます。そして醤油味は、お餅を焼いた時のような香ばしさがふわりと広がります。

興味深いのは、どちらも「味が強すぎない」ということです。 正直なところ、どちらを食べてもベースにある生地の優しい甘みと香ばしさが主役で、抹茶や醤油の味の違いは「さほど強く感じられない」ほど。

ですが、その「ほのかに香る」という絶妙なバランスこそが、お菓子全体の品格を高めています。 どちらの味も、素材の味を邪魔しない程度の淡い味付けなので、食べ終わった後の後味も軽やか

甘いものが苦手な方でも、「これなら何枚でも食べられる」と感じてしまうような、親しみやすくも贅沢な味わいでした。

音羽堂で出会う、新しい和菓子の楽しみ

今回いただいた「岩雫」と「金彩乾山」は、どちらも「食感の驚き」が詰まった逸品でした。

「岩雫」は、赤ちゃんのほっぺのような究極の柔らかさと、瑞々しい粒あんの優しさに心まで解きほぐされます。一方の「金彩乾山」は、金箔が光る気品ある佇まいと、口に入れた瞬間に消える「ベビーせんべい」のような軽やかさとのギャップが秀逸でした。

伝統を守りつつ、一口で食べる人を笑顔にする音羽堂の和菓子。加賀を訪れた際は、ぜひこの繊細な口どけを体験してみてください。

住所 石川県加賀市保賀町ヘ46
営業時間 9:00〜17:00
定休日 日曜
公式サイト https://otowadou.jp/