チャットGPTを使うと、絵本づくりのハードルがぐっと下がります。
とはいえ、「チャットGPTに全部おまかせ」で理想の一冊ができるわけではなく、うまく使うコツがあります。
この記事では、アイデア出し→構成→本文→仕上げまでを、チャットGPTを軸に進める具体的な手順とプロンプト例を、初心者の方にも分かりやすくまとめます。
チャットGPTで絵本をつくる前に知っておきたいこと
チャットGPTでできること/できないこと
できること
- 絵本のテーマ・タイトル・キャッチコピー案の提案
- ストーリー構成(起承転結・三幕構成)の作成
- 本文のたたき台作成と言い回しの調整
- 画像生成AIに渡すための「イラストの文章説明」「プロンプト文」の作成
- ChatGPTの画像生成機能を使った、簡易なイラスト案の生成
できないこと
- 紙の絵本印刷を前提にした厳密なレイアウト・入稿データ作成
- 「プロのイラストレーター完全同等」のクオリティ保証
メリット・デメリット
メリット
- 短時間でたくさんの案を出せる
- プロットや構成を整理してくれる
- 書き慣れていなくても、たたき台が簡単に作れる
デメリット
- そのままだと無難で個性が薄くなりがち
- 誤用・不自然な表現が混ざることがある
- 最終チェックと「自分の言葉への調整」は必須
- 日本語対応はしているが、正確な文字を入れるのは難しい
チャットGPTで絵本のアイデアを出す|プロンプトの組み立て方
ぼんやりテーマ→具体的な「お話の種」にする
まずは、チャットGPTにこちらの考えを整理してもらいます。
プロンプト例
「5歳向けの絵本にしたいです。動物が出てきて、勇気を出す大切さを伝えたいのですが、どんなシチュエーションが考えられますか?3つ教えてください。」
「年齢+モチーフ+伝えたいこと」をセットにして聞くと、具体的な案が出てきます。
ターゲット・テーマ・文字量を指定する
アイデア段階から、ボリューム感も伝えておきます。
プロンプト例
「5歳の子どもに読み聞かせる絵本のアイデアを3つ出してください。テーマは『友だちを助ける勇気』で、全12ページ程度の物語を想定しています。1案ごとに、主人公・始まり・クライマックス・終わりを簡単に説明してください。」
このレベルまで指定すると、あとで構成に落とし込みやすくなります。
バリエーション出しと絞り込み
バリエーション用プロンプト例
「3〜4歳向けの短い絵本のアイデアを5つ出してください。テーマは、ねんね・お着替え・ごはんなど、生活習慣が楽しく身につくものにしてください。」
絞り込み用プロンプト例
「この5案のうち、3歳児に最も分かりやすく、読み聞かせで盛り上がりそうな案を1つ選び、その理由も教えてください。」
チャットGPTのコメントを参考にしつつ、最終決定は自分で行うと納得感が生まれます。
ストーリー構成をチャットGPTでつくる手順
ひとつ前のステップで、ターゲット(年齢)、テーマ・メッセージ、絞り込んだアイデア(お話の種)までは決まっている前提で進めます。
ここからは、その「お話の種」をチャットGPTに渡して、ストーリー全体の流れに落とし込んでいきます。
アイデアからストーリーの流れに落とし込む
たとえば、次のように指示します。
プロンプト例
「5歳向け/テーマは『友だちを助ける勇気』/主人公は内気なうさぎの子どもです。」
アイデア①をもとに、全12ページの絵本になるよう、ページごとの流れを箇条書きで考えてください。」
ページごとのプロットを作ってもらう
物語の流れが決まったら、それを絵本のページ数に割り振ります。
ここで、前もって決めた「全体のページ数」をチャットGPTに伝えます。
・例:全12ページ、全16ページなど
・1ページ=「1つの場面」くらいのイメージで区切る
プロンプト例:
「いま出してくれた物語の流れを、全12ページの絵本になるように分けてください。
1ページごとにそのページで起きる出来事、主人公がどう感じているかを一行ずつ箇条書きで書いてください。」
こうして「ページごとの役割」がはっきりすると、あとで本文を書くときや、絵の指示を考えるときに迷いにくくなります。
追加指示でブラッシュアップ
修正の指示例
・「クライマックスの盛り上がりが弱いので、もう少し大きなピンチを入れてください。」
・「3歳向けにしたいので、全体の流れはそのままに、出来事をもう少しシンプルにしてください。」
また、「セリフ多め/ナレーション多め」もこの段階で指定しておくと、後の本文作成がスムーズです。
本文の文章をチャットGPTで生成・推敲するステップ
上記で作成した構成を元に文章と、画像生成をしていく工程を説明していきます。
全文→ページ単位という流れがおすすめ
手順の例
- プロットをもとに、まず全文を一気に書いてもらう「本文を作成して」の一言でOK
- それを読みながら、ページ分けの目安を決める
- 気になるページだけを抜き出して、個別に書き直してもらう
この流れにすると、全体のつながりとページごとの読みやすさを両立しやすくなります。
絵本としての「文字量の目安」を元に指示する
絵本らしさを保つためには、「思っているよりも少なめ」くらいの文字量がちょうど良いです。
たとえば目安としては、
2〜3歳向け:1ページ 20〜40字・1〜2文ほど
4〜5歳向け:1ページ 40〜80字・2〜3文ほど
6〜7歳向け:1ページ 60〜120字・3〜4文ほど
くらいを意識して、あとは絵で補うつもりで作ると、絵本らしいバランスになります。
「絵本の本文を作って」とお願いするだけでも、チャットGPTがある程度やわらかい日本語にしてくれることが多いです。
ただし、ターゲットの年齢や漢字の使い方をきちんとコントロールしたいときは、「2〜3歳向けなのでひらがな中心で」「4〜5歳向けなので1ページ40〜80字」など、プロンプトの中で条件をはっきり書いておくと安心です。
イラストをチャットGPTで生成するステップ
「物語さえあればおまかせ」でOK
チャットGPTの画像生成機能を使う場合、必ずしも毎ページごとに長いプロンプトを書く必要はありません。
基本の流れは次のイメージです。
- 先に絵本の本文をチャットGPTで完成させる
- 「この物語に合う絵本風のイラストを、ページごとに作って」とお願いする
- 足りないところだけ、あとから少しだけ条件を足していく
たとえば、「この絵本の本文に合うイラストを、ページごとに1枚ずつ作ってください。全体のテイストは、やわらかい水彩タッチの子ども向け絵本風でお願いします。」という指示でも十分にイラストをつくってくれます。
画像の中に文字入りのイラストを生成することもできますが、ページに入れたい文章量が多いと、文字がつぶれて読みにくくなったり、思った位置に収まらなかったりしやすいです。
そのため、画像生成時に下1/3は何も描かず、あとから文字を入れるための余白にしてください」などと指示して、「文字を置くためのスペース」だけあらかじめ空けておいてもらうことも手の一つです。
まとめ|チャットGPTと一緒に、自分だけの絵本をつくる
チャットGPTを使えば簡単に絵本を作ることができます。
一方で、「誰に何を伝えたいか」という芯の部分や、最後の一行のニュアンスは、作者であるあなたにしか決められません。
プロンプトを工夫しながら、チャットGPTをうまく相棒にして、少しずつ自分の色を足していくことで、世界に一冊だけのオリジナル絵本に近づいていきます。
ぜひ、楽しみながら一作目に取り組んでみてください!



