Phoneの画面で「Apple Intelligence」という文字を見ても、「結局、何ができるようになるの？」と感じている方は多いと思います。
結論からいうと、Apple Intelligenceは文章・画像・Siri・通知・検索などを、まとめて“AIアシスタント化”してくれる仕組みです。
Apple Intelligenceとは？iOSのAI化の全体像
まずは全体像からざっくり押さえます。
Apple Intelligenceの基本コンセプト
Apple Intelligenceは、iOS / iPadOS / macOSに横断的に組み込まれた生成AI機能の総称です。
- システムに組み込まれた「パーソナルインテリジェンス（個人向けAI）」という位置づけ
- 文章・画像・Siri・写真アプリなどで共通のAIが働くイメージ
- ユーザーごとの文脈（予定・メール・写真など）を踏まえた支援を目指している
どこで動くAIなのか（オンデバイス＋クラウド）
Appleは「プライバシー重視」を掲げており、AIの処理も基本はオンデバイス（端末内処理）です。
シンプルな要約・リライトなどはiPhone / iPad / Macの中だけで完結し、個人データも端末内で処理され、サーバーに送られません。
それでも足りない高度な処理は、Private Cloud Computeという専用クラウドがあります。Private Cloud Computeは、Appleシリコンを積んだサーバー上でだけAI処理を行い、必要なデータだけを暗号化して送り、処理後は保存しない仕組みです。
対応OS・対応デバイスの大枠
2025年11月時点での対応状況は次の通りです。
- iOS：iOS 18以降 ＋ iPhone 15 Pro / 15 Pro Max以降
- iPadOS：M1チップ以降のiPad Air / Proなど
- macOS：M1チップ以降のMac（MacBook Air / Pro / iMac / mini / Studio / Pro）
利用前に押さえておく前提（地域・言語・ベータ）
Apple Intelligenceは、機能ごとに対応する地域・言語がまだバラつきがあります。
2025年時点では、日本語も対応言語に含まれていますが、すべての機能が英語圏と同時対応とは限りません。
文章まわりでできること一覧：Writing Tools・要約・校正
「毎日メールやチャットを書いている」という方が、まず恩恵を感じやすいのが、この文章系機能です。
Writing Toolsの共通機能
Writing Toolsは、どこでも呼び出せる文章アシスタントのような存在です。
- 文章のドラフト生成…「こんな内容で返信したい」と箇条書き→下書きを自動生成
- リライト…くだけた文→丁寧語、ビジネス調→やわらかめ、などトーン変更
- 校正…誤字脱字チェック、言い回しの改善提案
- 要約…1文・箇条書き・短め／長めなど、複数パターンのサマリー
これらは、
・メール
・メッセージ
・メモ
・ブラウザ上のテキスト入力欄
など、多くのアプリで共通して使えるよう設計されています。
画像・写真まわりでできること一覧：Image Playground・Genmojiほか
続いて、クリエイティブ寄りの機能です。
画像生成系の機能
Apple Intelligenceには、Image Playgroundという画像生成機能が組み込まれています。
- テキストからイラスト・アイコン風の画像を生成
- ポップ・スケッチ・リアル寄りなど、スタイルを選択
- メッセージやメール、メモなどから直接呼び出し
イラスト制作ツールほど細かく指定するというより、雰囲気のあるイメージをサッと作って添える」イメージです。
絵文字・スタンプ生成（Genmoji）
Genmojiは、オリジナル絵文字・スタンプを作るためのAI機能です。
- 「ポーカーをするパンダ」「マジックをする猫」などをテキストから生成
- メッセージやSNSで、そのままスタンプ的に送信
いわゆる“盛った自撮り”ではなく、ゆるいアバター表現で感情を伝えるツールとして使うと楽しめます。
写真編集・整理のAI機能
写真アプリでもApple Intelligenceが活躍します。
- 写真から不要な写り込み・通行人などを消す
- 背景を少し整えて、主役を引き立たせる
- テキスト検索で「赤い服で海にいる写真」なども探しやすくなる
- 類似写真からおすすめを選んで、メモリー（自動アルバム）を生成
「とりあえず大量に撮ってあとで悩む」スタイルでも、AIが整理とベストショット選びをかなり助けてくれる印象です。
メモ・ノートとの連携
ノートアプリでは、ラフなスケッチからイラストを整えてくれる「Image Wand」のような機能も登場しています。
- 手書きでざっくり構図だけ描く
- Image Playgroundと組み合わせて、きれいなイラスト案に変換
- 図解やワイヤーフレームを素早く共有したいときに便利
Siri・検索・日常操作でできること一覧
Apple Intelligenceは、「Siriの裏側」や「画面理解」にも入り込んでいます。
新しいSiriの進化ポイント
フル刷新版のSiriはまだ段階的に展開中ですが、既に一部では、次のような進化が見られます。
- 画面に表示されている内容（メール・Web・写真など）を踏まえて回答
- 音声だけでなく、テキスト入力でSiriに指示
- 過去のやり取りや予定を参照した、少し“気が利く”提案
とはいえ、「何でもフル自動でこなす超高性能Siri」というより、一歩ずつ賢くなっている最中という理解が現実的です。
画面理解・画像認識まわりの機能（Visual Intelligence）
Visual Intelligenceは、画面やカメラに映っているものを理解して、そこから行動につなげる機能です。
- スクリーンショットを撮る → その画面内容を要約したり、関連情報を検索
- 写真の中の場所・もの・テキストを認識して、調べものに直結
- カメラ越しに見ているものを、その場で説明してもらう
iPhone 16シリーズなど一部機種では、専用ボタンやアクションから素早く呼び出せる形にもなっています。
まとめ：Apple IntelligenceでiPhoneは「少しずつ賢く」なる
Apple Intelligenceは、魔法のようにすべてを自動化してくれる存在というより、日々の作業をじわっと楽にしてくれる“裏方アシスタント”のような仕組みです。
文章づくり、画像や写真の扱い、Siriとの会話、通知や画面の理解など、これまでバラバラだった機能がひとつのAIレイヤーとしてつながり始めています。
メールの下書きだけ書いてもらう、会議メモの要点だけ整理してもらう、プレゼン用のイメージだけImage Playgroundにお願いしてみる、といった小さなところから試してみると、負担が軽くなった実感を得やすいでしょう。
