山梨県では、地域の暮らしを支える家が長く使われず、そのまま空き家になるケースが年々増えています。

「使われていないのにもったいない」「治安や景観が心配」そんな声が住民の方々からよく聞かれます。

ここでは、山梨の空き家の背景、地域の課題、そしてこれから可能性のある活用モデルを整理してお伝えします。

山梨県の空き家問題 — 実態データで見る

山梨の空き家問題の実態と活用モデル|実態データ

ここからは実際のデータを用いて、山梨における空き家問題を見ていきます。

山梨の空き家問題の実態と活用モデル|空き家数と空き家率の推移

このグラフは、ダイヤモンド不動産研究所「山梨県の空き家率と空き家数」のデータをもとに作成されています。

基本データ — 山梨県の空き家率と空き家数

山梨県の空き家問題を理解するためには、まず現状を示す基礎的なデータを整理しておく必要があります。

ここでは、空き家率・空き家数・全国平均との比較といった、問題の大きさを示す指標を確認していきます。

  • 空き家数(推定)
    約87,200戸とGTCのデータにおいて紹介されています。
  • 全国との比較
    全国平均の約13.8%に対し、山梨は明確に高水準であることが土地売却奮闘記において記載されています。

山梨では、住宅のうち約5戸に1戸が空き家という割合になっています。

これは全国平均を大きく上回る数字で、空き家問題が「特殊な例」ではなく、「山梨の現実」と言える状況です。
空き家数自体は「最多」ではないものの、住宅総数に対する割合が非常に高いことが問題の核心です。

市町村別の偏り — 地域によって差が大きい

以下は2023年調査時点の市町村別データで、ダイヤモンド不動産研究所において示されています。

市区町村名 空き家率
北杜市 46.06%
大月市 22.05%
上野原市 21.19%
甲府市 18.14%
中央市 13.81%

特に北杜市では、住宅のほぼ半分が空き家という異常値となっており、地域差が非常に大きいです。

山梨県内であっても、地域(市町村や集落の立地)によって「空き家の集中」が起きており、全国一律の傾向ではありません。
こうした地域偏在があるため、「山梨全体で空き家対策」を進めるには、きめ細かい地域対応が求められます。

なぜ「空き家が増える」のか — 背景と構造

山梨の各市町村で共通して指摘されているのは、次のような「生活の変化の積み重ね」です。

相続後の管理が続けられない

相続は突然訪れますが、管理や手続きに時間と費用が必要です。
山梨では親世代の家が大きく、固定資産税・草刈り・修繕費などの負担が大きくなりがちです。

昔の家が大きく買い手がつきにくい

伝統的な木造建築は魅力がある一方、断熱や水回りなどの修繕に費用がかかるため、売却しても買い手が見つかりにくい状況があります。

地域の市場規模が小さく流通しにくい

都市圏ほど不動産の動きが活発ではなく、「売りたくても動かない」状態が生まれやすい地域構造になっています。

これらの複数の要因がゆっくり重なり、“気づけば空き家が増えていた” という状況が、山梨の多くのエリアで起きています。

山梨で注目される「地域循環型」の活用モデル

最近では、空き家を売却したり解体したりするだけでなく、地域の魅力を高めるために“循環させて使う”動きが広がっています。

山梨の自然や文化と相性が良い活用方法が多く実際に地域で成果が見え始めている事例も増えています。

やまなし空き古民家・レトロ建築バンクで広がる空き家利活用の輪

やまなし空き古民家・レトロ建築バンクは、空き古民家などを「売買・賃貸したい人」と「借りたい/買いたい人」をつなぐ県の制度です。

空き家の利活用を促進する制度として山梨県公式サイトにおいて紹介されています。
また、やまなし創生官民連携空き家活用事業により、県が認定した民間事業者と所有者をマッチングし、空き家活用ビジネスを支援する枠組みも山梨県公式サイトで案内されています。

こうした制度の存在が、空き家の再活用に向けた後押しとなっています。

このような公的枠組みがあることで、空き家は単なる“負の遺産”ではなく、地域資源として再スタートできる可能性があります。

北杜市 × 米倉家古民家——再生が生む“移住”と“交流”の新拠点

たとえば 株式会社COCOLは、北杜市武川の古民家「米倉家古民家」を再生するプロジェクトを、やまなし創生官民連携空き家活用事業として進めています。

こちらは、PR TIMESにおいて詳細が紹介されています。
また、古民家再生の事例がアキヤリノバニュースにおいても取り上げられており、このような再生によって、古い家屋が新しい「住まい」や「交流の場」としてよみがえるが、山梨県内で実際に生まれています。

つまり、空き家をそのままにせず、丁寧に再生することで、移住希望者や地域に関心を持つ人が住まいや活動拠点を得られるような循環が生まれています。

「農地付き空き家」が拓く、新しい“農ある暮らし”のモデル

北杜市の公式サイトで公開されている空き家バンクでは、空き家とあわせて農地を引き継げる「農地付き空き家の取り扱いも示されています。

つまり、空き家だけでなく、近接する農地をセットで引き継ぎ、生活+農業という新しい暮らしをつくることが可能です。

このような取り組みは、もともとの住宅用途だけでなく、地域の農地や自然資源と結びつけることで、空き家の価値を再定義するモデルになり得ます。

空き家を“住むだけの箱”ではなく、“住まい+仕事場(農)”としてとらえることで、新たな暮らしの選択肢が広がっています。

蔵のある家プロジェクト・Nurなど、空き家から生まれる“地域の場づくり”

県が紹介する活用事例には、宿泊施設だけではなく、「シェアハウス・多目的スペース」として空き家を生かすケースがあります。

例えば、山梨県公式サイトで紹介されている、甲斐市での「蔵のある家プロジェクト」、南アルプス市での「Nur(ナル)」などがあります。

また、一般社団法人ゼロエミ山梨のサイトでは、空き家をシェアリング方式で活用しようとする民間団体の取り組みが紹介されており、所有者と利用希望者の双方にメリットが生まれる仕組みが示されています。

このように、住まいだけでなく「働く場」「創作・交流の場」として古い建物が活かされれば、地域に新しい動きが生まれます。

まとめ|空き家を活かす地域の新しい流れ

山梨では、空き家を地域の資源として生かす取り組みが広がっています。
家を直すだけでなく、農地や文化、働く場と組み合わせること、空き家が“地域の拠点”へと変わりつつあります。

こうした動きを支えるのは、自治体・専門家・住民が連携する地域全体の仕組みです。
成功例を共有しながら活用の幅を広げていくことで、空き家は負担ではなく、未来の暮らしを支える力になっていくでしょう。