福井県を訪れた人が、飲食店に入ってメニューの「カツ丼」を注文すると、十中八九驚くことになります。運ばれてくるのは、卵でとじられたカツではなく、ウスターソースにどっぷりと浸かったカツが乗った一杯。これこそが、福井県民のソウルフード「ソースカツ丼」です。

福井では「カツ丼」と言えばソース。「卵とじのカツ丼」を食べたいときは、あえて「卵とじカツ丼」と区別して注文するのが常識です。今回は、福井県民が愛してやまないソースカツ丼の魅力と、地元民が太鼓判を押す厳選5店舗を徹底解説します。

そもそも福井のソースカツ丼とは?

福井のソースカツ丼には、他県のソースカツ丼(キャベツが敷いてあるものなど)とは異なる明確な特徴があります。

  • 薄切りの肉ときめ細かいパン粉: 肉は叩いて薄く伸ばされ、特注の細かなパン粉をまとってカラリと揚げられます。

  • 秘伝のウスターソース: お店ごとに独自の配合で作られた、甘みと酸味、スパイスが効いたソースに、揚げたてのカツを「ドボン」と潜らせます。

  • 蓋の役割: 丼には必ず蓋がついてきます。これは保温のためだけでなく、溢れんばかりのカツを一時的に避難させる「取り皿」として使うためのものです。

それでは、地元民が愛する名店を見ていきましょう。

福井で絶対に行くべきソースカツ丼の名店5選

一口に「ソースカツ丼」と言っても、店ごとに受け継がれてきた秘伝のタレや肉の厚みには、驚くほどの個性があります。

老舗の味を守り続ける元祖から、知る人ぞ知る洋食の名店まで、地元民が自信を持っておすすめするラインナップを揃えました。どのお店を選んでも、福井の食文化の神髄を感じていただけること間違いありません。

ソースカツ丼の原点!ヨーロッパ軒(総本店・各分店)

福井で絶対に行くべきソースカツ丼の名店5選①ヨーロッパ軒(総本店・各分店)引用:https://yo-roppaken.gourmet.coocan.jp/sub1.htm

福井のソースカツ丼を語る上で、避けて通れないのが「ヨーロッパ軒」です。大正2年、創業者・高畠増太郎氏がドイツでの料理修行を終え、日本人の口に合うようにアレンジして発表したのが始まりとされています。

「パ軒(ぱけん)」と呼ばれることもあるこのお店のソースは、スパイシーでキレがあります。蓋を開けた瞬間に立ち上る香りは、食欲を限界まで刺激。カツは基本的に3枚。2枚を蓋に除け、ソースが染みたご飯と一緒にカツを頬張るのが作法です。

総本店は福井市内にありますが、県内に点在する「分店」もそれぞれにファンがついており、「うちは〇〇分店派」という会話も少なくありません

住所 福井市順化1丁目7-4(総本店)
営業時間 11:00~19:50
定休日 月曜日(祝日の場合は営業)、火曜日

肉の旨味と上品なタレの調和を楽しむ!とんかつ味処 くら

福井で絶対に行くべきソースカツ丼の名店5選②とんかつ味処 くら引用:https://tonkatsu-kura.com/menu/menu-hirekatudon

「元祖もいいけれど、もっと肉そのものの美味しさを味わいたい」という地元民が通うのが、とんかつ専門店「くら」です。

専門店の名に恥じぬ肉質の良さが最大の特徴。ヨーロッパ軒に比べると肉に厚みがあり、噛むたびに豚肉の甘い脂が口の中に広がります。

ソースは酸味を抑えたややマイルドで上品な仕上がり。衣のサクサク感が絶妙に残っており、「ソースに浸かっているのに軽い」という驚きの食感を楽しめます。

落ち着いた雰囲気で、質の高い一杯を堪能したい時におすすめです。

住所 福井県福井市北四ツ居1-1-8
営業時間 10:30~20:00(ラストオーダー)
定休日 毎週月曜日(祝日の場合は火曜日)

奇跡の復活を遂げた!ふくしん

福井で絶対に行くべきソースカツ丼の名店5選③ふくしん引用:https://fupo.jp/spot/fukushin/

福井市北部の象徴的な名店として愛されてきた「ふくしん」ですが、実は一度その歴史に幕を閉じています。2023年7月、惜しまれつつも50年の歴史に一旦終止符を打ちました。

しかし、物語はここで終わりませんでした。約1年の時を経て、2024年夏にエルパのフードコート内に待望の再オープンを果たしたのです。

復活した店舗でも、丼の蓋が閉まらないほどの「はみ出すカツ」のインパクトは健在!やや甘めで濃厚な秘伝のタレは、一度食べると中毒になる味わい

現在はフードコートという利用しやすい形態になったこともあり、連日多くの人で賑わっています。

住所 福井県福井市大和田2丁目1212番地(エルパ2階)
営業時間 10:00〜※ラストオーダー19:00
定休日 エルパに準ずる

老舗蕎麦屋のカツ丼!つるきそば

福井で絶対に行くべきソースカツ丼の名店5選④つるきそば

福井は「越前おろしそば」も有名ですが、その老舗蕎麦店である「つるきそば」で提供されるソースカツ丼もまた、地元民に深く愛されています

蕎麦屋のソースカツ丼と侮るなかれ。少しスパイシーなソースがたっぷりかかっており、白いご飯までしみ込んでいます。最後までソースを堪能できる最高のソースカツ丼です。

さらに嬉しいのが、福井の二大名物である「おろしそば」とのセットが最強であること。大根おろしが効いた蕎麦は、脂っこくなった口の中をさっぱりとリセットしてくれます。

住所 福井県福井中央2丁目4-31(本店)
営業時間 AM10:30~21:00
定休日 木曜日、元旦

こだわりが光る逸品!キッチン 天山(てんざん)

福井で絶対に行くべきソースカツ丼の名店5選⑤キッチン 天山(てんざん)引用:https://fuku-iro.jp/feature/detail_182.html#1449

最後に紹介するのは、観光ガイドにはあまり載らない、地元民が「本当は教えたくない」とっておきの一軒、「キッチン 天山」です。

住宅街にある町の中華屋さんですが、ここのソースカツ丼は驚くほど丁寧です。肉の叩き方、衣の付け方、揚げ温度。すべてにおいてプロの技が光ります。ソースはフルーティーでコクがあり、後味が驚くほどスッキリしています。

お店の雰囲気も温かく、家族でゆっくりと「本物の味」を楽しみたい時に選ばれる、地元に根ざした名店です。

住所 福井県吉田郡永平寺町京善1-17-1
営業時間 平日 AM11:00~PM8:00
土日 AM11:00~PM2:00
PM5:00~PM8:00
定休日 毎週水曜日

福井へ来たら、まずは一杯!

福井県民にとってソースカツ丼は、子供の頃からの思い出が詰まった「家庭の味」の延長線上にあります。一度は失われかけた「ふくしん」の味がファンの熱意で守られたように、この一杯には福井の歴史と情熱が凝縮されています。

福井を訪れた際は、ぜひこれらの名店に足を運んでみてください。そして、一口食べた瞬間に広がる「福井の日常の幸せ」を、ぜひ体感してほしいと思います。